シニアが読み解くエネルギー・環境問題（12）動き出した暮らしのエネルギー革命

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シニアが読み解くエネルギー・環境問題（12）動き出した暮らしのエネルギー革命 2012/7/2

太陽光発電

動き出した暮らしのエネルギー革命

エネルギー革命といえば、過去、石炭から石油へ、さらに石油から原子力へと、燃料の転換がその契機となりました。
しかし、最近注目されているエネルギー革命とは、エネルギーのネットワーク化を指します。
これまでのエネルギーは、例えば、石炭、石油にしろ、原子力にしろ、いずれも、それぞれのエネルギーは発電所によって電気として単独に作られ、工場や一般の家庭に供給されていました。
家庭におけるエネルギー、電気の利用も、テレビ、冷蔵庫、エアコンなど、それぞれが単体の家電製品として電気を使ってきました。
HEMS
ところが、今、動き出し始めたエネルギー革命とは、石油、石炭などのエネルギーはもちろん、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーがネットワークで結ばれ、エネルギー利用機器の方も、家電製品や電気自動車などがネットワークで結ばれる。
しかも、地域全体の工場、家庭、オフィス、公共施設、交通機関などが、ネットワークで結ばれる。
エネルギーのネットワーク化によって、例えば、エネルギーの余っている地域から、足りなくなった地域へ融通ができる。
あるいは、エネルギーが地域全体で足りなくなった場合には、地域全体で省エネを強化する。
そうした、エネルギーの効率的利用、エネルギーの最適利用が可能になるのです。

エネルギー消費の基本的単位である家庭において、エネルギーのネットワーク化はHEMS（ホームエネルギーマネジメントシステム）と呼ばれます。
家庭で使用するエネルギー利用製品を管理し、エネルギー消費を見える化することによって、省エネやエネルギー消費の効率化を促す、そうしたシステムをHEMSと呼んでいるのです。
エネルギー革命
今年４月から、経済産業省はこうしたHEMS導入のための機器設置に対し、補助金制度をスタートさせました。
今年度では、例えば、電力消費を「見える化」するための専用タブレット端末、中継器、パソコンで「見える化」する情報収集装置、測定装置などが補助金の対象となっています。
こうした機器、装置は今後、順次増える見通しです。
それによって、HEMSの導入が進展し、家庭におけるエネルギーのネットワーク化が普及する見通しとなっています。

エネルギーネットワーク化の背景には、再生可能エネルギーの急速な普及を見逃せません。
再生可能エネルギーによる電源は、集中立地型の従来の火力発電と違って、各地に分散して設置されています。
いわば、分散型電源ですが、それらを効率的に利用するには、ネットワーク化が不可欠です。
再生可能エネルギーは自然エネルギーのため、出力変動が大きく、それを調整するためにも、従来の火力発電電源との連系が必要になってきます。
エネルギー革命
家庭では、太陽光発電の設置によって、昼間の電気が余った場合、電気で給湯器のお湯を沸かしたり、貯湯槽にお湯をためたりします。
あるいは、電気自動車のバッテリーに充電します。
逆に、家庭での消費電力量が太陽光発電の発電量を上回った場合、エアコンの冷房温度を自動的に上げたり、ネットワークでつながれている自動車バッテリーから家庭内に電気を供給したりします。
そうした電気のやり取りを自動的に行うのがHEMSなのです。
私たちの暮らしの快適さを損なわずに、省エネやエネルギーの効率的な使用を自動的に管理する、HEMSを中心とした暮らしのエネルギー革命は、今緒についたといえるでしょう。