定年生活.com トップ» 学ぶ » シニアが読み解くエネルギー・環境問題(1)脱原発は可能か

シニアが読み解くエネルギー・環境問題(1)脱原発は可能か

2011/10/12 

今回から「シニアが読み解くエネルギー・環境問題」と題して、エネルギー・環境問題についての連載を開始いたします。第1回目は「脱原発は可能か」がテーマです。

脱原発は可能か

脱原発は可能か
東日本大震災による原子力発電所事故により、“脱原発”論争が盛り上がっています。菅・前首相が退陣間際に「原子力に依存しない社会を目指す」と発言したことが、“脱原発”論争の火に油を注いだ形になったようです。菅・前首相でなくても、直接放射能被害を受けた東北地方の人たちの身になってみれば、「原発はもうこりごり」「原発を造らないでほしい」という気持ちになるのは当然と思われます。お米や野菜、牛乳・肉牛の出荷ができない、子供が校庭で遊べない、生まれてくる子供が心配と言う妊婦の方々…。

東北地方だけでなく、全国的にこうした心配が広がっています。とはいえ、毎日の暮らしに欠かせないのが電気。このエネルギーをどうやって確保するのか。
「省エネで乗り切ればよい」「太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを増やせば大丈夫」。そう考える人たちが多いはずです。でも、なかなか簡単ではありません。

日本の発電電力は、現在、約1兆kW時(2008年度)で、このうち、原子力発電が30%近くを占めています。ただし、現時点では、東京電力福島第一原子力発電所をはじめ、安全点検中の原子力発電所が多いため、その割合は低下していると思われます。天然ガスや石炭、石油等の化石燃料による火力発電は70%近くに達しています。太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、水力発電を含めてもわずか8%に過ぎないのです。
太陽光発電
再生可能エネルギーについては、政府は現在、相当力を入れています。前政権は、再生可能エネルギーの割合を2020年代に20%程度に引き上げる方針を打ち出しました。
そのためには、再生可能エネルギーの柱である太陽光発電を思い切って増やす必要があります。どの程度増やさなければならないかというと、約1000万戸の家の屋根すべてに太陽光発電パネルを設置する必要があります。現在の日本全体の戸建て住宅戸数は約3000万戸であり、ほぼ3軒に1軒の割合でパネルを設置しなければなりません。新築住宅はもちろん、既存住宅でも多くの家庭で設置を迫られます。
現在の太陽光発電パネルの価格は、1kW当たり約100万円といわれ、標準世帯では3~4kWが必要です。つまり、300万~400万円の出費を新たに覚悟しなければなりません。国や地方自治体の補助があるとはいえ、一般家庭にとっては大きな負担です。

風力発電には広大な土地が必要です。省エネについては、今年夏、15%の節電で何とか電力不足を乗り切りましたが、年間を通してこの節電を続けることはとても難しいようです。一般家庭はともかくとして、大電力を必要とする産業用の工場、交通・輸送機関などでは、これまでも徹底した省エネを進めており、更なる省エネは、非常に厳しいと思われます。
風力発電
太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、日照や気象条件に左右される不安定な電力です。雨や曇りの日、あるいは風のない日には、発電できません。こうした不安定な電力は、産業用、業務用、輸送用など安定供給を求められる分野では不向きなのです。再生可能エネルギーを安定した電力に変えるためには、大規模な蓄電システムが不可欠であり、それには巨額の投資が必要となります。
原発は、安全性を徹底的に高めることが第一であり、その上で依存度をできるだけ引き下げていくことは必要でしょう。ただ、安定した電源として現在のところ、原発は最低限必要です。安定したエネルギー・電源の確保は、産業・経済の成長や景気の回復、さらに雇用の拡大の点でも不可欠の条件といえます。

シニアが読み解くエネルギー・環境問題

(1)脱原発は可能か / (2)スマートコミュニティづくりを急げ /
 
(3)日本は資源大国になれるか / (4)原発輸出は是か非か /
 
(5)相次ぐ電力各社のメガソーラー事業 / (6)河川水や都市排熱の有効活用を
 
(7)エネルギー選択に重要な発電コスト / (8)“水素社会”が到来する? /
 
(9)下水汚泥が都市ガスに変身? / (10)原子力に代わる天然ガス? /

(11)太陽光発電はどこまで安くなる? / (12)動き出した暮らしのエネルギー革命

シニア向け特集記事

<お金や暮らしに関する特集>

 
老後の不安
(1)健康・お金  (2)働く  (3)過ごし方

老後の計画
(1)お金  (2)個人年金保険  (3)医療保険  (4)確定申告  (5)住宅ローン  (6)老人ホーム

老後の生活と年金
(1)把握編  (2)対応編  (3)独立編

定年後の生活費、どれくらい必要? / 退職時の貯蓄、どれくらい必要? /
年金生活・・・老後のお金について考える

定年後
エンジョイライフ / 貯金半減 / 月20万で楽々 / 無収入・一人暮らし /
健康オタク / 熟年離婚 / 熟年結婚 / 教育費貧乏

シニアの群像
(3)田舎暮らし  (4)海外暮らし  (5)野菜づくり  (6)写真展 

<働くことや仕事に関する特集>

元気で働く
64歳男性、看護 / 63歳女性、保育補助 / 58歳女性、クリーニング&パン

定年後
まだ働いています / 仕事がしたい  /  60歳からの働く /
会社に残れたものの / 早期退職か居座りか / 失業しています

定年後も働こう|定年後の独立開業 / シニア夫婦が自宅でしている仕事

シニアの群像
(1)異業種交流  (2)職探し  (7)独立開業

学ぶに関する特集・投稿リストへ
 

トップページに戻る

 



定年生活ではLINEのお友達を募集しています☆以下のQRコードからお友達登録をしていただきますと、LINEだけでのお役立ち情報をお届けします。
定年生活ではLINEのお友達を募集しています