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シニアが読み解くエネルギー・環境問題(7)エネルギー選択に重要な発電コスト

2012/2/13 

工場地帯

エネルギー選択に重要な発電コスト

私たちの暮らしに不可欠な電気。その発電コストは、電気料金に大きくハネ返ります。
出来るだけ安い発電コストの電気を使えば、家計の負担も軽減され、企業、産業にとっては、コストダウンになり、経済の活性化、景気回復に繋がります。

日本の電力は、東日本大震災前までは、原子力発電が主電源として約3割の発電量を担ってきました。しかし、福島第一原子力発電所事故によって、その役割が大きく崩れ、発電量は大幅にダウンしています。しかも、安全神話が崩壊したことによって、原子力発電に対する抜本的な見直しムードが高まり、「脱原発」「原子力依存度の引き下げ」などの議論が国民の間に強まっています。
風力発電
一方で、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーに対する期待が高まっています。クリーンで、無尽蔵の再生可能エネルギーをもっと使いたいと考えるのは当然といえます。
政府は、そうした国民的な機運を踏まえ、現在、「エネルギー・環境会議」で、将来のエネルギー構成をどのように形づくるかの議論を進めています。その大前提となるのが、それぞれのエネルギーによる発電コストです。

大震災前までは、原子力発電のコストが圧倒的に安く、日本の基幹電源とされてきました。燃料費が安く、一つのプラントで大電力を確保できるという、経済性、効率性が大きな要因となっていました。
しかし、事故によって、国民の間から「原子力発電には、今回のような事故処理費用を加えるべきだ。避難住民などへの損害賠償費用も考慮すべきだ」等々の意見が出されました。「エネルギー・環境会議」では、専門家による「コスト等検証委員会」を設置し、数ヵ月間にわたる議論を重ね、先ごろ、その大筋をまとめました。

それによると、原子力発電は、従来1kW時あたり5.9円だった発電コストは、今回の事故損害額6兆円を見込むと、10.2円と2倍にハネ上がります。
ちなみに、石炭、LNG(液化天然ガス)火力発電も1kW時あたり従来の5~6円から10~11円程度と試算されています。
火力発電
国民の期待の強い再生可能エネルギーについては、太陽光発電の場合1kW時あたり従来の30~45円から、12~26円(大規模発電のメガソーラ)と約40%低下します。これは、技術進歩や政策支援などによるものです。
ちなみに風力発電は、従来の1kW時9円~17円は、ほとんど変わりません。つまり、政府の試算で見る限り、あれだけの大事故を起こし、巨額の損害を与えた原子力発電は、それらを織り込んでも、なお、発電コスト的には、最も安い電力の一つということができます。

もちろん、原子力発電所事故の損害額は、最終的になお増える可能性もあり、政府の試算も流動的です。しかし、コストの輪郭が明らかになったことで、日本のエネルギーをこれからどのように組み合わせるという議論のたたき台が整ったということができます。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーをエネルギーの主役にすべきだとの意見も強いのですが、いかんせん発電コスト的にはなお割高なのです。
もちろん、電気料金が高くなっても、クリーンな再生可能エネルギーを利用したいという家庭も多いと思われます。しかし、経済・産業のコストを引き下げ、国際的な日本産業の競争力を維持するためには、電気料金が高くなることは好ましくありません。それは、雇用の確保や企業に働くサラリーマンの収入の低下をもたらすからです。
太陽光発電
エネルギーのコストは、家計だけでなく、国全体の経済・産業の活性化の観点からも考える必要があります。
このコスト試算を踏まえ、政府は、来年夏をメドにエネルギー基本計画を策定する方針ですが、エネルギーの組み合わせについては、原子力、既存の火力発電、再生可能エネルギーなど、そのコスト、安全性、エネルギー・セキュリティなどの、総合的な観点から、考える必要がありそうです。

シニアが読み解くエネルギー・環境問題

(1)脱原発は可能か / (2)スマートコミュニティづくりを急げ /
 
(3)日本は資源大国になれるか / (4)原発輸出は是か非か /
 
(5)相次ぐ電力各社のメガソーラー事業 / (6)河川水や都市排熱の有効活用を
 
(7)エネルギー選択に重要な発電コスト / (8)“水素社会”が到来する? /
 
(9)下水汚泥が都市ガスに変身? / (10)原子力に代わる天然ガス? /

(11)太陽光発電はどこまで安くなる? / (12)動き出した暮らしのエネルギー革命

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